20140330『カノン』 外岡秀俊
中原清一郎は外岡秀俊のペンネームです。外岡は私の高校時代の同級生で、優れた友人でした。朝日新聞のジャーナリストとして誠実で真摯な活動を繰り広げ、並行して作家としても良質な作品を書き続けていました。この作品は、末期癌に冒されている58歳の北斗(男性)と記憶を失い死に至る病に冒されている32歳のカノン(女性)の物語です。北斗の脳幹海馬をカノンに移植することによって、北斗はカノンの体を得て生きのびることになり、カノンは息子と夫に自分の体を残すことができました。北斗=カノンは数々の試練と障害を乗り越えていき、最後にはどちらでもない新たな「カノン」ができあがっていきます。AIが発達して、私たちの体と心の問題も喫緊の課題と言えます。近未来を考えるために有効なテクストとなっています。...