20131226『残夢整理』 多田富雄
現在の若者達に読んでもらいたい一冊です。作者は著名な免疫学者ですが、当時の大学の医学進学課程は2年間のリベラルアーツが必修でした。一般教養を学ばないで良い医者にはなれないと多田は断言します。人間を機械としてしか見ない「工学的思考」を持った医者が増えたことを嘆いています。作者の恩師である岡林先生に、文献を読みたいと相談すると、先生は文献なんか読むな、そんなものは百害あって一利なしだ、と言います。文献を読んで何か分かった気になるのは大きな間違いで、そんなものを読まず自分の目で見たことだけを信じろ、と強く伝えます。さらに先生は「病変の局所だけ見るな。背後の全体を見よ」と教えます。多田はこの教えを守り、免疫学上の重大発見をします。文学も同じでしょう。文学理論を読んで分かった気になるくらいならば、読まない方が良いです。文学そのものを読んで、自分の感覚を研ぎ澄ますことが大切です。...