20080120『蜘蛛女のキス』 プイグ
「悲しい」ではなく、「哀しい」作品です。テロリストと同性愛者の恋、と書いてしまえば陳腐な感がありますが、切ない恋物語です。同性愛者のモリーナは「ノーマル」な男性しか愛さないので、モリーナの恋は成就することがありません。それ故に彼女(肉体的には男性ですが、心は女性です)の夢は、愛する人の腕の中で息絶えることです。バレンティンは革命的社会主義者でテロリストです。モリーナとは全く違った世界に住んでいながら、二人は監獄の同じ房に囚われていて、モリーナの好きな映画の話が切っ掛けで親しくなります。しかし彼らに未来はありません。 私が勤務していた学校には、いつも数名の同性愛の教師がいました。皆知っていましたが、他の教師と区別なく接していましたし、男性から突然女性になった(本来の性になった)教師もいました。性は白黒はっきりしているものではありません。グレーゾーンに存在している人たちが数多くいます。それを理解するためにも有効な一冊です。...