20090312『愛撫』 庄野潤三
『愛撫』は庄野潤三の短編集ですが、形而上的な何か、不定型なもの、人と人の間に存在するもの、そういった「何か」を読み取るのに適したテクストです。論理的な分析だけではなく、直観や第六感も使用しながら五感全てを使って文を「感じと」る。そういった練習をするのに向いています。現代はスピードが重視されますが、それによって見落とされてゆくものがあります。新幹線は目的地に早く到着しますが、鈍行列車でないと線路脇に咲いている一輪の花を見つけることは難しいでしょう。早ければ良いものではありません。緩急自在に「読み」を試すことによって見えてくるものがあります。そしてそれは時として何よりも大切なものであったりします。読書の達人になるためにも必要な過程です。...