20130831『紅梅』 津村節子
夫も著名な作家(吉村昭)である、津村節子の私小説的作品です。夫が癌になり、その闘病生活を支えながら作家としての仕事もこなさなくてはなりません。夫も病を養いながら未完成の作品のことを気にかけます。お互いを気遣うからこそすれ違いも生まれます。夫の死を看取りながらも種々の思い出が蘇ってきます。夫は自分の介護よりも妻が仕事を優先することを願いますが、妻は二足のわらじを苦しみながらも続けます。私たちは同じ様な状況に置かれたときに、どのように行動すべきなのでしょうか。一人の人間は、子どもであり、父や母であり、仕事の同僚であり、友人であり、近所の人でもあります。その全てのペルソナを一致させるアイデンティティをどのようにして獲得できるのでしょうか。その一つの軸は「愛」であると分からせてくれる作品です。...