20110416『大江健三郎 作家自身を語る』 大江健三郎
大江健三郎の作品は個性的で挑発的でもあります。特に第二期作品群と言われ、ノーベル文学賞の理由となった作品は、私たちに多くのことを考えさせてくれます。多くが父親と息子の物語であり、息子には障碍があります。そして、窮地に陥る父親を救うのは、その障碍児なのです。もちろん大江の長男が実際に障碍を抱えていることは周知の事実ですが、大江はそれを表現しているわけではありません。障碍児でも両親にとっては大切な存在であるという普通のことを言いたいわけでもありません。障碍児が父親を救うのです。この発想の鋭さが他に類を見ない作品となっている理由です。この障碍児を暗喩と捉えると、世界の至る所に現れる図式が見えて来ます。本作は作家自身がその秘密を暴露してくれる、誠に面白いテクストであり、大江文学を理解するための必読書と言えるかもしれません。...