20130530『テレーズ・デスケルウ』 モーリアック
モーリアックはカトリック作家として有名ですが、この作品においては神を前面に押しだしてはいません。逆に主人公のテレーズは神に対する強い懐疑を持ち、自殺を試みてもいます。彼女が夫の体調不良の原因が薬のせいかどうか確かめようとして、薬を多く飲ませたりするのは、夫を殺そうとしたわけではありません。ただ、自分の置かれている状況に納得がいかず、不安に駆られ、その出口を求めていただけです。そして夫はそれを全く理解していません。不幸なブルジョワ家庭の悲劇と言えばそれまでですが、テレーズの行為の原因を探り、彼女が夫と別れパリで暮らし始めてどうなるのか考える事は、私たちの人生における生き甲斐の意味を考える事に繋がるでしょう。モーリアックはその後テレーズの事後談も書いていますので、それを参考にするのも興味深いです。...