20100728『荒地の恋』 ねじめ正一
「荒地」とはT・S・エリオットの有名な詩のタイトルですが、それにちなんで田村隆一達が発行していた詩誌の題名でもあります。田村隆一は天才的な詩人と称され、その自由奔放な感性に満ちた作品は私も好きですし、DPの試験問題としても出題されました。酒、女、詩作に夢中であった実に魅力的な詩人でしたが、彼の友人に詩人の北村太郎がいます。北村は田村と正反対に見える詩人で、新聞社に勤務し、妻子があり、寡作の詩人です。この北村が田村の妻の明子と恋仲になるという事実を元に、小説仕立てで描いたのが本作です。まるで日本の李白と杜甫を見るような、対極の二人の相克と友情を描いていますが、詩人とはどのような「人種」なのかという、多くの人の疑問に素直に答えてくれるテクストです。答えはそれぞれで見つけてみて下さい。 「詩人とは何者か?」...