20110228『ねむれ巴里』 金子光晴
詩人の金子光晴は1929年から2年間巴里で暮らしました。その時の破天荒な暮らしや交流のあった人たちのエピソードが豊富に見られます。今から100年近くも前の話なので、現在とはかなり違うかというと、結果的には今も変わらないと言った方が正しいでしょう。昔よりは交通手段が増えて簡単になりましたが、根本は変わりません。日本を捨てるようにしてパリに来る人は相変わらず多いですし、そういった人たちの受け皿が免税店であったりレストランの下働きであったりします。アートの世界などは最も厳しく、パリでルーブルや他の美術館を見て回ると、これ程素晴らしい作品が無数に存在しているのに、自分が何かできるだろうかと考え、挫折してしまう人も多くいます。それでも何かができるはずと考えて努力を続けた一握りの人が、アーティストとして残っていきます。このようなパリの光と影が見事に表現されています。...