20131025『歴史をかえた誤訳』 鳥飼玖美子
作者は同時通訳者、翻訳者として有名ですが、経験豊富な鳥飼が語る「誤訳」の例は面白いどころか、恐ろしいものが沢山含まれています。最大級の誤訳(可能性)は、ポツダム宣言に対する当時の鈴木貫太郎首相の発言です。その影響で広島、長崎に原爆が落とされたのだとしたら、考えるだに恐ろしいことです。ジョーン・バエズが来日したときの、通訳者の意図的誤訳も許しがたいものです。現在ではAIによってかなり翻訳、通訳が簡単にできるようになってきているでしょうが、微妙なニュアンスまで正確に伝えるほどではないようです。そのニュアンスが非常に重要な場合は、結果が恐ろしいです。しかし鳥飼が最後に述べたのは「通訳にせよ翻訳にせよ、最終的には母語の力が決定的な要素を持つ」でした。第一言語の授業の重要性が明確になっています。 「もしたった一語の日本語を英訳する仕方が違っていたら、広島と長崎に原爆が投下されることはなかったかもしれない」...