20140228『夏の流れ 丸山健二初期短編集』 丸山健二
「純文学」という言葉はもう死語なのでしょうか。私たちは若いときに辛い思いをしながら「純文学」を読んできました。しかし、そこには辛さだけではなく、興奮と喜びもありました。興奮は、自分が普段考えていてもなかなか形にできないものを、作家が見事に例示してくれるからです。喜びは、そのような感覚と考えを作家と分かち合った喜びです。丸山健二の初期作品は、見事にかつての純文学の良さを示してくれます。死刑囚を担当する看守は、死刑執行が仕事の一環として存在します。人の死ほど「非日常的」出来事はないでしょうが、彼らにとってはそれは「日常」の一コマなのです。死刑執行を「非日常」としてしまえば、その仕事に耐えられるはずがありません。そんな看守達の心境を見事に描いています。 「日常と非日常の狭間」...