20140329『一色一生』 志村ふくみ
『一色一生』、このタイトルに全てが込められているような作品です。染織家の志村ふくみが、一つの入りを正確に出すためには一生かかると述べています。そんな大袈裟なと言うことは簡単ですが、作者の心の中には明確な色が浮かんでいるのに、それをどうしても現実的に作り出せない、というのは辛いことでしょう。そして、そこに向かって行く道の中で、様々な色を発見していくのでしょう。彼女たちが苦労しながら、自然から色を作り出しているときに、世の中は化学染料が主流になっていきます。そんな時に志村の師匠は言います。化学染料では「せいめいあるもの生命ある色を染めるのは不可能であり、生命ある色は生命あるものから生まれてくるものである」。もちろん科学の世界では「生命」の境界を論じるのかもしれませんが、ここに表現されている単純で素朴で暖かい世界は、AIでは作り出せないものであると信じたいです。...