20110919『奇跡』 岡本敏子
岡本太郎の名は私たちにとって強烈な印象を残しています。1970年の万博で「太陽の塔」を制作し、「芸術は爆発だ」という名台詞を残しました。しかし、岡本の作品の芸術的価値が認められるようになったのは、戸籍上の幼女であり、実質的には妻でありパートナーであった敏子のお陰です。彼女が書いた小説が『奇跡』です。主人公の笙子は羽田謙介と出会い、激しい恋愛関係に陥りますが、謙介は突然この世を去ります。作品の後半は、岡本太郎がモデルである謙介が死んでからの物語です。後に敏子は吉本ばななとの対談で、自分が描きたかったのは主人公の笙子ではなく、謙介だったと語っています。個性の塊で一世を風靡した岡本太郎という激しい魂を理解するための一冊となっています。...