20100321『火宅の人』 檀一雄
『火宅の人』とは、何と上手な命名でしょうか。煩悩の中で生きるのが人間でしょうが、檀一雄の場合はその煩悩の強さが半端ではないようです。酒、女、料理(彼の場合は作る方です)に溺れ、仕事もこなすというエネルギーの凄まじさには頭が下がります。特に愛人とパリで暮らす様子は見事と言うほかありません。確かにパリは、檀の煩悩をしっかりと満たしてくれる街です。美味しいワインがあり、美しい女性も多くいて、料理の素材は無限にあり、執筆の題材にも事欠きません。太宰治と親しく、最後の無頼派と呼ばれた作家の生き様・死に様は、人の一生や生き甲斐を考えた時に素晴らしいスパイスとなって、私たちを刺激してくれることでしょう。...