文学テクストの解説 『キッチン』 吉本ばなな
『キッチン』が出版された時は驚きました。第一印象は「文学ではない」というものでした。当時としては文体が余りにも個性的で、口語的で、「文学」のイメージとはほど遠いものでした。しかし、その後パソコンが普及し、インターネットが日常となり、手紙よりもメールやSNSで連絡することが増えるに従って、吉本ばななの文体は特殊なものではなくなりました。その意味においても『キッチン』は画期的なテクストです。さらに登場人物の設定も斬新なものでした。いまでこそLGBTQ+などは普通に語られていますが、二十世紀末の日本ではえり子さんの存在はタブーに近いものでした。 種々の角度から分析可能なこのテクストを、「死者の役割」、「キッチン・食べ物」、「LGBTQ+」という観点から読み解きます。 作品名:『キッチン』 作者名:吉本ばなな 【死者の役割】...