20121129『コルシア書店の仲間たち』 須賀敦子
須賀敦子の作品はフアンが多いことで知られています。この『コルシア書店の仲間たち』は、彼女の最も有名な作品です。特色は、登場人物達が魅力的なことです。個性に満ちていて、それを頑固に守り、自分の生き方を貫きます。そして、テクストとしての何よりの特色は、作者の透明な視点と静謐な文章です。文には「触覚」があります。大江健三郎の文には硬さと重厚感があり、安部公房の文には簡潔さと知的扇動性があります。中上健次のような熱と圧倒的なエネルギーを感じるものもあります。須賀敦子の文はとにかく静かで、どこか世界の果ての古書店にいるような妙な居心地の良さを感じます。そこでは時間が止まっていて、時代を超えた魂が行き交っています。確かに希有な作家でした。テクスト分析に適していますし、生徒たちに透徹した魂とは何か教えてくれるでしょう。...