20130630『漱石の長襦袢』 半藤末利子
夏目漱石の研究書は数多く存在します。そのおかげで、かつては「ソクラテスの妻」の代表と言われた、漱石の妻鏡子の真の姿もIBまでは分かってきています。漱石についても同様です。最初は弟子達が思い出を語ったり書いたりしていたので、どうしても漱石を先生と考え、神格化してしまいます。しかし、本作は漱石の長女筆子の娘、つまり漱石の孫によって書かれています。末利子は漱石を直接知りませんが、鏡子のことはよく知っていますし、母の筆子からも多くを聞いています。それ故に、漱石を理解するために末利子の証言は非常に貴重なものです。家族故に語ることのできることや、身内から聞いていたことが惜しげもなく披露されています。漱石文学を理解するための必読書と言えるでしょう。...