20090511『おくりびと』 百瀬しのぶ
映画の「おくりびと」は2008年に公開され、種々の問題を提起した作品です。小説の『おくりびと』は映画をノベライズしたものです。「納棺師」という聞き慣れない職業にまつわる話ですが、この言葉は1954年に起こった青函連絡船洞爺丸の事故が切っ掛けでできたもののようです。一度に多くの死者が出た事故で、遺体の損傷が激しく、それを少しでも生前の姿に近付けて遺族の悲しみを和らげようという目的で成立したとのことです。確かに親しい人の死は私たちに強い悲しみと絶望を与えます。しかし、遺体が優しい表情やおだやかな様子を見せていれば、少しは心が和むのではないでしょうか。現代社会は死が見えにくくなってきていると指摘されます。とは言えどんな人にも訪れるものなので、そこから目を背けることは良く生きる事に繋がらないでしょう。死を知り、より良い生を生きる、そのために役立つ一冊であると思います。...