20071126『漱石の妻』 鳥越碧
日本の教育を受けると、必ずどこかで「夏目漱石」という名前に出会うでしょう。『坊ちゃん』、『我が輩は猫である』、『こころ』等のポピュラーな作品を読む機会も多いことでしょう。しかし、漱石の妻である夏目鏡子について詳しく学ぶことはあまりないと思います。弟子達が名づけた「ソクラテスの妻」を知っている人は、きっと悪妻であったのだろうと思うかもしれません。ところがこの作品を読むと、鏡子が「普通」の女性であったことに驚きます。夫が特別であれば妻も特別であるように、色眼鏡をかけて見てしまうのかもしれません。妻は「妻」であろうと努力し、夫は「妻」に加えて「母性」も求める。そこにすれ違いが生じる。母と幼くして別れた男性は妻に母性を求めるのかも知れません。川端康成もそうであったように。...