文学テクストの解説 『金閣寺』 三島由紀夫
『金閣寺』を燃やすという事件は実際に起こったことですし、犯人の林養賢も実在の人物です。しかし、三島由紀夫はこの事件を独自の解釈で描きました。溝口の生まれや金閣寺の徒弟になった事は林養賢と同じですし、吃音や父の病もそうです。とは言え、老師の性格は実在の人物とは違っていますし、林養賢の父と老師は知り合いではありませんでしたし、有為子、鶴川、柏木等にはモデルがいません。このように虚実混在のフィクションで、金閣という絶対的な美に翻弄される主人公を描きました。 このようなテクストを、「溝口と金閣寺」、「有為子という暗喩」、「行為と認識」というキーワードから分析してみます。 作品名:『金閣寺』 作者名:三島由紀夫 【溝口と金閣寺】 溝口にとって金閣はどのようなものであったのか。最終的に金閣寺を燃やす主人公にとって、この疑問を明らかにするのは必須である。...