20121029『血液と石鹸』 リン・ディン
暗喩と風刺に富んだテクストです。そして、言葉とは何かという根本的な問いをしっかりと考えさせてくれます。もちろんTOKとも結びつけられますが、DP文学の教師及び生徒として非常に面白い作品です。40近い短篇が載っていますが、例えば冒頭の一編では、囚人が独房にいて、一冊の外国語の辞書だけが置いてあります。さて長年この辞書だけを読んだ囚人はどうなるでしょうか。別の短篇では、英語を一、二度聞いただけでその音をメモして、自分の「英語」を作り上げて、それを教える英語教師になります。形容詞を動詞として使えるようにして「I will hot you」、「Don't red me」と教えます。意味が通じるのが面白いです。知的冒険と暗喩に満ちた素晴らしい作品ですが、作者は1963年にサイゴンで生まれ、1975年に国外脱出してアメリカに移住しました。DPのテクストに相応しい一冊です。...