20130421『充たされざる者』 カズオ・イシグロ
カズオ・イシグロは常に新たな問題提起を試みている作家です。そして、彼の関心の範囲は非常に広いと言えるでしょう。作品毎に全く違ったテーマが扱われ、それがまた骨太なものでこちらが真剣に対峙することを求めています。この『充たされざる者』も奥行きがある作品です。カフカの『城』を思い出しますが、まだカフカの方が一直線に「不可解」な部分が見えて来ます。イシグロはそれを何重にも仕掛けていて、一体何が何だか分からなくなってしまいます。満たされていないのは主人公のライダーなのか、それとも読者である私たちなのか・・・・・・多角的に考える事のできる内容であり、読後に議論すると非常に楽しい一冊であると考えます。...