20120522『震災と原発 国家の過ち』 外岡秀俊
外岡秀俊はかつて『北帰行』で文藝賞を受賞しながらも朝日新聞に入社し、ジャーナリストとして活躍しました。綿密な取材と誠実な人柄(私の高校時代の同級生なので、確かです)故に、彼の書く作品は説得力に満ちています。数年前に急死しましたが、最後まで東日本大震災と沖縄に寄り添っていました。本作は文学の力を借りて東日本大震災を検証したものです。この未曾有の災害に苦しむ人々を取材して、外岡は『ペスト』のリウー、『城』の測量士、『黒い雨』の矢須子、『怒りの葡萄』のジョード一家、等を再読しています。そして、「文学が被災者に希望を与えるのではなく、被災者が希望であることを教えるのが文学である」と結論づけます。このひと言は私たちの心に重く響きます。...