20110221『アフリカのひと 父の肖像』 ル・クレジオ
ル・クレジオは、私がフランスに来る前に最も愛読した作家の一人です。例え翻訳であろうと、彼の作品には「時空的広がり」があり、土地に呪縛されていない心地良さがあります。とは言え本作で彼は父親とアフリカとの関係を語り、そこから自分とアフリカとの深い関係を考察しています。彼の母親はフランス人で父はイギリス人ですが、ル・クレジオは長い間自分の母が黒人であれば良かったのにと考えていたそうです。それほどに彼を作り上げているものはアフリカなのです。とは言え、それは中上健次が描いた「紀州」とは全く違うもので、ル・クレジオが追い求めていたものは自己の根源的ルーツのように思えます。それはアフリカのイヴに繋がるようなもので、私たちの存在そのものに結びついているようです。...