物語・小説演習問題2
「設問つき文学分析」の試験準備は、各ジャンルの文章について演習問題を数多く実践することが重要です。ここでは典型的な演習問題を提示しますので、しっかりと分析して答案を作成してみて下さい。解答例も掲載しますが、評価規準に沿って採点してみることも重要です。 試験問題一 物語・小説 演習問題二 遠くに湖水が小さく光っている。古庭の水の腐った泉水を月夜に見るような色である。 湖水の向岸の林が静かに燃え上がっている。火は見る見る拡がって行く。山火事らしい。 岸を玩具のように走る蒸気喞筒が鮮やかに水面に映っている。 坂を黒くして人群が果てしなく上って来る。 気がつくと、あたりの空気が静かに乾いたように明るい。 坂の下の下町一帯は火の海である。 —彼女が一ぱいの人群れをすいすいと分けて一人坂を下って行く。坂を下って行くのは彼女唯一人である。 不思議に音のない世界である。 火の海に向って真直ぐに進む彼女を見て、私はたまらない気持になる。...