20101011『わたくし率 イン 歯ー、または世界』 川上未映子
文学の教師にとってはこれ程面白い素材はないでしょう。国木田独歩が自身の随筆の中で芭蕉の文を換骨奪胎しながら書いている部分は面白く、『奥の細道』を読んでからだと、至る所に芭蕉の文体をもじった(これも蕉風?)箇所が見つかり、読者の教養を試しながらもわくわくさせてくれます。かつてはこのように読者の側に最低限の素養が求められていたものです。川上未映子の本作は、その楽しみを私たちに与えてくれます。このわけのわからないタイトルで私たちを煙に巻きながらも、小説では色々な作家の文体を思わせる表現が現れます。DPで文体を考える時、このテクストは大変に興味深い素材となってくれます。...