20090924『八月の路上に捨てる』 伊藤たかみ
文学作品には(特に小説には)作者の「感性」が現れます。その感性と自分の感性とが近かった時、私たちは親近感を感じます。そこには心地良い空間があるのですが、いつまでもそれに浸っていることはできません。同じところにいても進歩はありませんし、作者もそうです。いずれ種々の変化が訪れます。とは言え一つの作品の中に現れる奇妙な違和感は、文学テクストの分析において非常に重要なヒントとなります。その違和感がどこから来るのか、何を意味しているのか、それを考える事こそ一冊の本を「読む」ことです。伊藤たかみの『八月の路上に捨てる』はタイトルからして違和感があります。何故「八月」なのか、路上に何を「捨てる」のか。最後までそれは明確には表現されませんが、皆さんはどうお考えになるでしょうか。...